トロンパスとランタン村
2013年10月の第3次ヒマラヤ遠征は、アンナプルナ・サーキット(アンナプルナ山塊を巡る13日間のロングトレール、最高点トロンパス)一周とヤラピーク(ランタン村奥に聳える独立峰)の登頂成功と実り多く、素晴らしいものだった。しかしその後、遠征地2ヶ所に過酷な運命が待ってたとは、その時は夢にも思いませんでした。
アンナプルナ・サーキットは歩行距離が長く、登降差も大きい難コース。壮麗なアンナプルナ連山の展望、世界で二番目の高度のティルチョ湖の絶景等見所も多い。中間部のトロンパスは世界最大の峠として知られている。10月12日、パス手前のトロン・ハイキャンプ(4800m)を朝4時に出発した。強風が吹き始める前にパスを超えて、出来れば日の出を見たいと思ったからだ。考える事は皆同じで、パスへのルートは既にトレッカーであふれていた。ヘッドランプの明かりを頼りに緩やかな登りをジグザグに登って行く。途中で夜が明け、3時間ほどで無風快晴のトロンパス(5416m)へ着いた。パスは広い鞍部と成っていて、恐ろしく寒い他は素晴らしいヒマールの展望を堪能できた。茶店が一軒有り、インスタントラーメンをトレッカーにふるまっていた。パスからの下りは一部凍結している所もあり、アイゼンを付けて慎重に下り、5時間掛けてやっとの思いでチベット仏教とヒンドゥー教の聖地ムクティナート(3760m)へ下り着いた。
(次の年の2014年10月15日、季節外れのモンスーンがトロンパスを襲った。積雪と雪崩により、39名(内日本人2名)が亡くなるというネパールトレッキング史上最悪の事故が起きた。件の茶店の主人もトレッカーと共に遭難したと言われている。)
ティルチョ湖(4920m) アンナプルナⅡ(7937m)
トロンパス
(2015年4月25日、ネパールで大規模地震発生。ランタンリルンの頂部が崩壊して、激しい土石流と雪崩がランタン谷を襲い、村の55のゲストハウスと民家が氷河と岩の下敷きになった。残った家は一軒だけであった。欧米のトレッカーを含めて200人余が犠牲になったと言われている。)
ランタン村 シシャパンマ(8027m)、ガンチェンポタ